第二章 はりねずみのエンジン – 発明と開発
エジソンの仕事の仕方(アプローチ)の特徴=システムへの好み
→電灯システムの歴史は、彼のシステム・アプローチ(SA)の本質的な特徴を露に示す。彼は、それが持つ刺激的効果を体験した。
(⇔システムの要素は発明したが、システムを発明しなかった人物がスワン)
- ①逆突出部:さらに発展する必要がある技術の中の、明白な弱点・弱い要素。
②決定的問題:それが解決されれば逆突出部が正されるような一つ(一組)の問題として規定されたもの。(前者は経済的な性格の問題が多く、後者は技術的なものが多い。)
⇔SAに注意を向ければ、内実がはっきりしてくる。
→問うべき問題は、エジソンは何を発明したかではなく、どのようにして発明を主催したか、とすべきである。
- エジソンは、問題を技術=経済的なものとして規定した。(自分のシステムは、経済面で競争できるものでなければならないことをはっきりと実感していた。)
- 彼の日々の活動は、どう進んだら良いか正確なところはわからないまま、目標物を探している生物が前進/引き返しを繰り返すようであった。
⇔はっきりしていることは、エジソンが最初から白熱電球だけではなく、配電網のような関連した要素をも発明するつもりだったこと。
:並列配電システムと、回路遮断装置を備えたフィラメント電球。
←決定的問題:アーク灯はあまりにも明るすぎて狭い空間の照明には適さないこと。
→明るすぎない白熱フィラメント電球を使うこと。
→温度調整装置と並列回路〔=決定的問題〕セットとなった。
∵直列につないでいたら、どれか一つの調整装置が作動すれば、全ての電球が消えてしまうから。
- 決定的問題:技術=経済システムとしての「配電システム」の費用(コスト)
→高抵抗のフィラメントをいかに製造するか?=決定的問題
エジソンとアプトンは、次のような関係を明らかにしていた。
: [1]
(P=導線での損失エネルギー、I=電流、L=導線の長さ、S=導線の段面積、a=定数)
→ここにおいては、銅の費用が全体の費用方程式の主要な変数であることを認識。
⇔Pを小さくするためにSを大きくすることはできない。
→別の方法としては、Iを小さくすれば良い。
→P=IV(ジュールの法則)であるから、電流に反比例して電圧を上げれば、電流の減少を埋め合わせて電球へのエネルギー移転を同じレベルに維持できる。
→V=IR(オームの法則)なので、R(フィラメント抵抗)を大きくすれば、同じ電流に対して電圧を大きくすることができる。
→炭素ではなく、高抵抗の白金フィラメントを使う。
- 中央ステーション・システムの建設→EELCが設立(1878年)
→十分な需要が見込めるニューヨークに設立。
1882年10/1には、この地域の1626個の電球に電線が繋がれた。
①、②より、